慢性前立腺炎

2013-10-23 20:41:36

この病気は、泌尿器科専門医でもスッキリと治すことの難しい病態です。

★「慢性前立腺炎って何?」

慢性前立腺炎とは、下腹部や陰部や肛門周囲に、違和感・不快感・痛みを感じる等の症状が現れる病態です。
排尿時や射精時に痛みや不快感を伴う場合や、頻尿を呈することもあります。
通常は不快感程度で日常生活に支障がないことが多いのですが、人によっては苦痛でしょうがなくなってしまう方もいます。

★「慢性前立腺炎の原因は何?」

原因としては、細菌感染やクラミジア感染が関与していて原因がハッキリ解る場合も有りますが、多くの場合は原因が判定できません。アレルギーの関与なども考えられていますが、実際のところは原因不明です。

★「どういう検査をするの?」

まずは検尿検査で細菌感染の有無を確認します。その後、直腸診(炎症が急性でなければ前立腺マッサージも行います)をした上で、再度検尿してもらいます。感染が疑われる場合には培養検査を行って細菌の種類を調べます。

★「どういう治療を行うの?」

原因が細菌であった場合は抗生物質で治療します。前立腺は血液から抗生物質が入って来にくい臓器ですので、他の感染症(膀胱炎や気管支炎など)に比べると、内服期間は長くなってしまいます。一般的には、2週間から3ヶ月程度必要なことが多いです。そのように長期間の内服をしても、全ての患者さんで症状がスッキリとは消失するわけではないのが現状です。症状が許容範囲程度に落ち着いて、検尿所見で正常化すれば治療を終了することが多いです。
原因が細菌でなかった場合は、医者の立場から見ても(患者さんから見るともっと困るでしょうが)、正直困ってしまいます。この場合には、前立腺の炎症をとる目的で生薬系の内服薬や漢方薬、前立腺肥大症に用いられる薬や対症療法として鎮痛解熱剤などを試みる場合が多いです。色々と試みますが、症状が許容範囲程度に落ち着いてくれれば治療成功と考えるのが現状です。

★「生活習慣で気をつける事は?」

香辛料などの刺激物やアルコールにより症状が悪化することがシバシバ見られます。また、長時間の座っていると症状が悪化する人もシバシバ見られます。定期的に歩行すると良いようです。

マイタウン奈良掲載コラム