前立腺肥大症とは

2013-12-11 07:17:05

前立腺肥大症は、泌尿器科のもっともポピュラーな病気です。

前立腺は図のように膀胱の真下にあり、その中を尿の通り道(尿道)が通っています。前立腺液を分泌し精子が卵子に到達するのを手助けします。肥大の原因は不明ですが40歳代半ばより小さくなるグループと大きくなるグループに分かれ、その大きくなるグループが前立腺肥大症です。

前立腺が大きくなると膀胱と尿道が圧迫されます。膀胱は上方に押し上げられるため自律神経が興奮し不安定な状態になります。その結果膀胱が過敏になり頻尿・残尿感といった症状が出現します。尿道も機械的に圧迫され狭くなり、その事が刺激となり自律神経が興奮し引きつりが生じ、更に尿道を狭めます。そのため尿の出が悪いといった症状をきたします。

前立腺肥大症は表に示すような様々な尿に関する症状の原因となります。

50歳以上の男性で表のような症状のある方は前立腺肥大症が強く疑われます。父親・兄弟といった近親者が前立腺肥大症の場合、ご本人が肥大症になる危険度は高くなると言われています。(父親→3.5 兄弟→6.1)

前立腺肥大症の診断は、検尿・症状の問診・直腸診(肛門から指を挿入し前立腺を触る)・尿流量測定検査(尿の出方を測定出来る特殊な便器で排尿)で行います。直腸診で前立腺が大きい、あるいは硬いしこりが触れ前立腺癌が疑われる場合は前立腺エコーを行います。またPSAという血液検査で前立腺癌の有無もチェックします。

治療方法は色々あります。まずは薬による治療を行います。α1ブロッカーという自律神経を落着かせる薬が第一選択となりますが、その症状・前立腺の状態によって漢方薬やホルモン剤も使われます。薬による治療で効果のない場合は手術が選択されますが、お腹を切る事なく内視鏡の手術で行われます。

年のせいと諦めず、一度泌尿器科の扉をノックして下さい。あなたに合った治療法があると思いますし、前立腺癌の有無も確認できます。

閉塞感のない快適生活をエンジョイしましょう。


【前立腺肥大症の症状】
 ①尿の勢いが悪い
 ②尿をした後も残った感じがする(残尿感)
 ③頻尿(特に夜間の尿回数が多い―夜間頻尿―)
 ④尿が我慢できない(尿意切迫)→尿漏れ
 ⑤尿が出なくて下腹が張って痛い(尿閉)

【食事】
 野菜・穀物・大豆に多く含まれるイソフラボノイド→ 前立腺肥大症の抑制因子(?)
 アルコール・喫煙の関与は少ない
 ノコギリヤシ:有効性に関して明確ではない

マイタウン奈良掲載コラム